No 1

深 淵
P50

116 × 89

深淵とは聞きなれない言葉かと思います。
旧約聖書の冒頭にある「初めに、神は天地を創造された。 地は混沌であって、闇が深淵の面にあり、神の霊が水の面を動いていた。神は言われた。「光あれ。」こうして、光があった。」からとりました。このイメージは大変興味深いものがあり、さまざまに想像をめぐらします。いったいどのような光景だったのだろうと。
あるとき日本からフランスに戻る途中の飛行機の窓から外の光景を見ていました。ちょうどシベリア上空を飛んでいました。眼下には広大なツンドラ地帯が続いていました。暗黒の中に雪に覆われた茫漠とした大地が見えます。漆黒の闇夜にうっすらとオレンジ色の帯が見え始めますと、突然に鮮やかな青い帯が広がります。夜明けです。
私はその光景を目の中に焼き付けました。その次に同じところを飛ぶときに水彩画でスケッチを取りました。今から10年程前です。それからというもの飛行機に乗るたびに写真を撮ったりスケッチをしたり、やっと試作品を作ることができました。それが今回の作品です。ちょうど三作目の試作になります。



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