それでは、今日はキャンバスを用意しましょう。

−第三話−

<キャンバスの話し(1)>

 道具の話しの途中で突然キャンバスに行ってしまうのも変な話しですが。
絵を描くさいのサポートになる部分を基底材と呼びます。
紙だったり板だったりすることもあります。フレスコ画でしたら壁になります。
 ここでは油絵ですので板かキャンバスですね。
近年では手軽なのでキャンバスが一般的ですが、中世では板が主流でした。

下は私が使ってるキャンバス地です。画面では少々粗めですが目は題材によって分けています。


クレサン No66

 基底材としてのキャンバスはとても重要で、安物は使えません。(とても重要です。以前人からいただいたものを使ったことがありましたが、使えたものではありませんでした。ですから初心者の方でも可能な限り上質なものを使ってください。普及品で充分などと思わないで下さい。普及品で粗悪なものはかなり出回ってますくれぐれもご注意ください。)


私の使っているものはクレサンのセリューズ加工(鉛白を塗布)のものです。
(クレサンと称していてもバーゲン品のような安物もあります。注意しましょう)

下地の加工が良いと描きやすいばかりでなく、最終的な仕上がりもよいです。
逆に安物のキャンバスを使うと、同じ絵を描くのでも三倍は苦労させられます。
 絵の具ののりは悪く、絵具が濡れている状態と乾いてからの発色が違ってしまうからです。

たちの悪い物は描きあがってから数年(数ヶ月)経ってから変化が出るものがあります。
作品の価値を非常に下げてしまうので、私は無理をしても素性の良い物を使うようにしています。

  キャンバスは木枠に張りますが、日本サイズとフランスサイズは微妙にずれがあります。

下は日本サイズとフランスサイズの比較表です

日本サイズmm
番 号 F P M

0

180×140

180×120

1

220×160

220×140

220×120

サムホール

227×158

2

240×190

240×160

240×140

3

273×221

273×191

273×161

4

333×242

333×222

333×191

5

350×270

350×240

350×220

6

409×318

409×273

409×242

8

455×379

455×333

455×273

フランスサイズCm

No

FIGUE

PAYSAGE

MARINE

00

16×12

0

18×14

18×12

1

22×16

22×14

22×12

2

24×19

24×16

24×14

3

27×22

27×19

27×16

4

33×24

33×22

33×19

5

35×27

35×24

35×22

6

41×33

41×27

41×24

8

46×38

46×33

46×27

 表記はそれぞれの標準のmmとCmに従いました


上の表で見てわかると思いますが、日本のサイズはえらく半端ですが、これは外国の寸法を日本の寸に直してそれを更にCmに対応させたために誤差が出たと言われています。

(追記: アメリカで入手できる木枠も、 cm を Inch に直したものが使われているので、やはりヨーロッパのサイズとは違うそうです。)

それから、日本の木枠はフランスのものより厚いです。
仕上げ加工は日本のものの方が良いのですが、組み立て式のためゆがみが出やすいです。

キャンバス張りには一時期ガンタッカーを使っていましたが、最近では昔ながらの釘を使うようにしています。釘の方が長い年月が経ったあとがきれいです。


これは銅の釘です

キャンバスを横から見たところ

 


(つづく)
1999.11.21

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