
参考写真 セーブル市テオドールデック通り

下地塗装
下地(ローシェンナー)を施して、一ヶ月経過。
デッサン定着 全体をチェックするようにローアンバーとホワイトでデッサンを取り、明暗の加減で修正を加えます。
色と明るさの影響を考慮してデッサンを修正します。
人間の目は写真と違って適当に歪めたほうが自然な空間に見えます。
この絵は画面が大きいので右手前の建物は上に行くに従って空に吸い込まれるようにすぼまるようにします。

第二層
夜明けの薄暗がりの光の部分の薄い青の下地を「ブルーロワイヤル」と「ガランス」を混ぜた色で施して行きます。
途中でデッサンを大幅に手直ししました。
この絵の第二のポイントの吸い込まれるような空気感はかなりしっかりとしたデッサンが重要な要素となります。
「写真のように正確な」ではなく「人間の目に忠実な」デッサンです。
人間の目は歪んで見えます。
その歪みをできるだけ忠実に再現することがポイントになります。
そのためにデッサンの修正だけで2週間かかりました。

第三層
右側建物の入り口を修正、垣根を追加。これによって奥行き感がましたかと思います。
●構造感を見直す。
●第三層に入りました。

●この絵は普段は見えないところの描き込みに気を使いました。ですから通常の明かりのもとでは薄暗く、中央の外灯だけが見えますが、明るい日のもとでは背景の建物までしっかり見えるように描きました。
●そのためうるさくならないように手前の描写を控えました。
●もしかしたら手前も同じように描き込んでもよいのかもしれません。うるさくなるようでしたらその時に考えるとします。私の癖でついついこの程度でよいだろうとしてしまいます。いつかこれ以上はできないぐらいに徹底的に突っ込んだ絵を描きたいものです。

細部の描き込み。
●向かいのアパートのレンガをひとつひとつ認識して描き込みます。
●またバルコニーの構造を頭に入れて前後関係を把握した上で描き込みます。
●明かりの灯っている窓とまだ暗い窓の室内を想像しながら描いていきます。
そうすると建物の中に人の気配が感じられる絵になります。
●左の建物の庭木の葉を描き込みます。
●同じ建物の質感を描き分けます。特に石積みの壁の石をひとつひとつ見直します。
たとえ描かないまでもひとつひとつの石を認識して筆を進めます。

全体のニュアンスを修正して完成。
●石畳のひとつひとつの配列を頭に入れて描いていきます。ここに手を抜くと石畳として一枚の平面の道路になりません。
不安定な絵の具の層で終わってしまいます。
●まだ十分ではありませんが、きりがないので、完成とします。